ウィザードリィコレクション (ローカス) PC-9801版
これはPC-9801版のウィザードリィを、エミュレータのAnex86で読めるFDIファイルに変換して発売していたものです。
エミュレータ本体としてAnex86も収録されています。
普段から他のエミュレータ(Neko Project IIなど)を使っている人は、そちらでも起動できます。
つまりベタ移植どころか、イメージ化しただけのファイルを商品として売っていたんですね。
手抜きと言えば手抜きですけど、当時のゲームをそのままやりたい人にはかえってよかったのかもしれません。
もちろんWindows10など最近のOSでも余裕で起動させることができます。
以下、Neko Project IIでやってみます。
著作権表記がアンドリュー・グリーンバーグと、ロバート・ウッドヘッドになっているのが面白いですね。
(サーテックの著作権表記は書かれていませんね)
ただしせっかく漢字の出るPC-9801版でも、漢字ROMがないと、ひらがな表記になります。
この画面で選択肢が3つ出るのは、私がPC98の実機ROMを使っているから。
実機を持っていない人のために、以前はローカスの公式サイトから漢字表示用パッチをダウンロードできたのですが、既に消滅しています。
このためだけにわざわざPC98シリーズの本体を中古で購入することもないと思いますけどね。
起動後は、当時の操作方法と全く同じです。
ドライブ1にデュプリケイトディスクのイメージを入れてからスタートです。
キャラメイク画面。
かな漢字変換などないので、五十音順に漢字を探します。
そういえば昔はみんなそうだったな……。
WindowsどころかMS-DOSすら一般人には使われていなかった時代。
DOS以降のパソコンしか使ったことのない人は、とてつもなく面倒くさいと思うでしょう。
そもそもキャラメイクすら面倒だと思う人がいるかもしれません。
自分でキャラを作るのが本来のRPGであって、与えられたキャラでプレイするのは、RPGとは違うのですが……。
ボーナスポイントの割り振り画面。
これ……、ボーナスポイントを変えるためにキャラを作り直したいと思ったら、本当に面倒ですよ。
まあ、たまに天才が生まれても、どうせ20歳を過ぎればただの人になるのですから、作り直さなくても同じでしょう。
それに最初から上級職だと成長が遅いので不利です。
成長の早いファイターのレベルをどんどん上げる方が個人的に好きなのでね。
ボッタクリ商店で一通りの装備を購入してから、無謀にも1人でダンジョンに潜ってみます。
迷宮に入るとすぐにキャンプ画面。
それにしてもディスクの読み込みがないと快適です。
ウィザードリィのディスクの読み込みの遅さは有名でしたけど、エミュレータでやるとスピード的には現代でも通用するゲームになります。
1歩進む度に方眼紙にマッピングしていたのがダンジョンRPGの醍醐味でした。オートマッピングなんてダンジョンRPGの楽しみの半分を奪うようなもの。
これも面倒くさがりの現代人には耐えられないことなのかもしれませんけどね。
私はIBM PC版のウィザードリィもやったことあるのですが、地下1階から魔物が2グループ現れるので難易度が高かったです。
1人で歩いても、オークの集団が1グループくらいなら余裕です。
ただしファミコン版とは違って、PC版は外見からは敵の区別ができません。
例えば、ファイアジャイアントとポイズンジャイアントは同じ絵です。
だから魔法の使えないファイターだけのパーティで迷宮を彷徨って、不確定名の敵が出てくると、慣れないうちは敵の名前が判別できないので、より恐怖感が増すのです。
ファミコン版とPC版ではウィザードリィのゲーム性が違っていることがわかりますね。
もちろんアップル版もPC版と同じで絵の種類は限られていました。
だからPC版の怖さの方が本当で、ファミコン版はお子様向けに簡単にしていると思います。
ノーダメージでオークを退治。経験値は独り占めです。
問題は宝箱。
ファイターが調べるとPRIEST BLASTERになっています。
しかしファイターの鑑定など信用できません。
ここでキーボードから罠の名前を入力するのも、PC版らしい特徴ですね。
テレポーターの罠を外す時のスペルミスの怖さは、ゲーム機では再現できないのです。
おっと! EXPLODING BOX
やっぱり罠の鑑定を間違えてました。
1人で死んだのに墓が複数あるのは、パーティ制が大前提だからでしょう。
ウィザードリィの迷宮を1人で彷徨うのが、どれほど無謀なことかよくわかります。
力だけのゴリ押しでは通用しない。プリーストやシーフやメイジやビショップの協力があってこそのウィザードリィ。
そのゲームバランスは後のRPGに多大な影響を与えました。
作者と会社がカネで揉めて1~5の再発売が難しくなっているのが残念ですね。
リメイクではなくそのままの形でやりたいと思っている人も多いでしょうに。
このウィザードリィコレクションは、リルガミンサーガのような移植ではなく、昔のままなので、思い出に浸りたい人にはうってつけです。
もしゲームファンでウィザードリィを全くやったことがないという人がいたら、ファミコン版やゲームボーイ版などではなく、本物の恐怖が味わえるPC版をぜひ一度やってみるべきだと思いました。