国分寺殿ヶ谷戸庭園


国分寺崖線を行くシリーズ。
今回は本家本元の国分寺市にやってきました。


国分寺駅庭園


東京にたくさんある大名屋敷の跡地は、年に2回だけ無料開放されます。
六義園や小石川後楽園などの都心の庭園はほとんど無料の日に行き尽くしました。唯一行ったことがなかったのが…


殿ヶ谷戸庭園見どころ


殿ヶ谷戸庭園(国分寺市)
ここは都心から離れているので大名の屋敷跡ではなく、満鉄副総裁をやっていた成金が大正時代に作った別荘でした。
だから都民の貴重な税金を使ってまで東京都が買い取って残すほどの意味は本来ないのです。でも国分寺と言えば…


殿ヶ谷戸庭園予約


国分寺崖線で有名です。
この庭園は国分寺崖線を造園に利用しているので起伏がすごく激しく、崖なので湧水が出ています。
写真は崖の上から池を見下ろしたところです。東京の庭園に必ず池があるのは、回遊式林泉庭園と言って江戸時代からの流行だったようです。


殿ヶ谷戸庭園とは


トカゲちゃん発見。
自然が豊かで池があると夏には蚊も大発生するでしょう。
小石川後楽園なんて夏は虫だらけですし……。春か秋がいいと思います。


殿ヶ谷戸庭園の読み方は「とのがやとていえん」


こちらは崖上の芝生地です。高低差の違いが雰囲気の違いにも表れています。
国分寺駅のすぐ前にあるので昭和時代には商業施設にする計画もあったそうですが、地形学的には残す意味もあるよね、ということで都立庭園として残すことにしたのかもしれません。
(売り手側の税金対策も理由の一つだったのでしょうけどね)


お鷹の道歴史


国分寺には他にも崖を利用した観光施設があって、このお鷹の道も、やはり崖から出た湧水が流れる小川を遊歩道にしています。
お鷹の道と呼ばれているのは、鷹狩りの場所だったからです。


※ちなみに私たちが崖や坂道を歩いているのはタモリの影響とは違います。
子供の頃はテレビをよく見ていましたけど、今はほとんど見なくなったので、テレビに影響されることは全くありません。自分で考えて行動しているのです。


お鷹の道アクセス


地図の右上から左下に向かって歩いて行きます。
国分寺駅は崖上。殿ヶ谷戸庭園も左半分が崖上です。
東元町(三)と書かれている所の線が崖だと思っていいです。
途中に案内標識がたくさんあるので、道順を迷うことはありません。


真姿の池弁財天


綺麗な水の流れです。
崖線下の水を集めて野川にそそいでいます。
すぐに真姿の池という湧水地にたどり着きます。


真姿の池伝説


こういう大きい画像を載せる時は、だいたい後ろの人間を隠しているのです。


写真の背景がまさに国分寺崖線。崖から湧水が流れ出ています。
9世紀頃に1人の女性が国分寺に病気平癒祈願に参詣したところ、この湧水で身を清めるように言われて、そのとおりにしたら病気が治った、というよくある作り話が現地の東京都教育委員会が設置した看板に書かれていました。


浄水器商法みたいだとか、東京都教育委員会は非科学的な霊感商法まがいの話も教育しているのかとか、水で病気が治るのであればMr.マリックのハンドパワーなら人が生き返るのかとか、そんな無粋なことを言うつもりはありませんよ。
1200年前に作られた伝説ですからね。


パワースポット? 迷信?


崖を登って行きます。これは崖の上から見下ろした写真です。
崖の上は武蔵国分寺公園の雑木林です。


国分寺駅から武蔵国分寺公園


武蔵国分寺公園の雑木林。
旧国鉄の中央鉄道学園の跡地です。国鉄が国民にツケを残した莫大な借金の返済のために、本当なら民間に売却されていたはずの土地です。
ここが汐留だったらそうなっていたでしょう。田舎だったので乱開発されずに残りました。


武蔵国分寺公園イベント


野鳥の鳴き声が聞こえてきます。
23区と多摩地区とでは同じ東京扱いされているとは思えないほど違います。
まるで別の県に来ているよう。でも、もし多摩県だとしたら、県庁所在地は八王子か立川か町田かで争いになるのでしょうか?
国分寺や府中も「昔はここが武蔵国の中心だった」と主張するかもしれません。他から見ればコップの中の争いに思えますけどね。


武蔵国分寺公園テント


武蔵国分寺公園のこもれび広場には木陰もあってお弁当を食べるにはいい場所です。人も多すぎないですし。
テントの設営は禁止です。でもどの公園にも必ずルールを破ってテントを張る人はいます。
それを自分の頭で考えてやっているならまだしも、他人がやっていることの真似をしているだけなのですから何を言っても無駄でしょうね。
(写真にうつっている人たちを非難するために撮っているわけではありませんよ。人物が判別できない程度の画質にしています)


武蔵国分寺薬師堂


すぐ近くには、国分寺薬師堂があります。
国分寺の史跡は全体で10万平方メートルあると現地の看板に書かれていました。
全部が保存されているのではなく既に民家になっている部分もあるのでしょう。買収して史跡公園にするという計画だけは存在するようです。


仁王門阿吽


これは仁王門。阿形像と吽形像があるのはお約束ですね。
国分寺は鎌倉末期から室町時代にかけてこの近くであった戦乱(分倍河原の戦い)で焼失したようです。
この仁王門は建武の時代に再建されて、さらにその時の材料を使って江戸時代に再建されたものだそうです。


万葉植物園料金


国分寺の楼門。京都ではないのでもちろん拝観料は無料です。
お寺の中には万葉植物園という、万葉集にちなんだ花を集めたちょっとした植物園があります。


万葉植物園国分寺


茜さす紫野行き標野行き 野守は見ずや君が袖振る


これは額田王ですね。万葉集の存在をすっかり忘れた人でも、さすがにこれくらいは憶えているはず。


武蔵国分寺跡


武蔵国分寺跡。


本来の国分寺は現在の国分寺よりも200mほど南側にありました。




日本史を知らない人はここを読んでないでしょうけど、念のために書いておくと聖徳太子の時代に外国から仏教がやってきて受け入れる派と受け入れない派で内戦になって受け入れる派が勝ったので寺院が増えてきて聖武天皇の時代になって日本中に広めましょうということで全国に1つずつ国分寺と国分尼寺を作ることになってそのうち寺が権力と結びついて影響力を持つようになって織田信長のように焼き討ちした人もいたけど江戸末期までは勢力を維持していて明治政府の廃仏毀釈で衰退して戦後の日本は技術立国になったので非科学的なことは否定されるようになって仏や神を信じない無宗教の人も多いけど、それはそれとして観光で古いお寺や神社を訪れる人は多くて宗教とは別の集客施設になっている、というのが現代の日本です。




私たちのように宗教心がゼロでも東京のお寺にたくさん行っているのは拝観料が無料だからという理由もあります。有料だったら行かないですよ。


武蔵国分寺跡見どころ


跡地は公園のように整備されていて金堂跡や講堂跡などが保存されています。
金堂は東西122尺(約36m)とのことで、地方の国分寺にしてはかなり大きかったようです。


武蔵国分寺跡歴史


緑の線が国分寺崖線。崖下に国分寺が建立されたのは、やはり湧水と関係があるのだと思います。
武蔵野台地は富士山や箱根の火山灰が積もった高台で水が少ないですから。湧水は貴重だったのでしょう。
この場所から南に行くと府中駅のすぐ近くに武蔵国府跡があるので、奈良時代はこの辺りが武蔵国の中心だったという主張は間違いではないのかもしれません。
(ただし現在は国分寺跡と国府跡の間には府中刑務所が居座っています……)


国分寺崖線地図


森のように見えているのが国分寺崖線です。
この場所の東側には七重の塔の跡地もあります。高さは60mと書かれていました。推定だと思いますが。
崖が見渡せるほど何もない場所です。遠くの都にしかなかったような大きい建築物が奈良時代の武蔵野の草原の真ん中に突然現れたら農民はびっくりしたことでしょうね。


国分寺建立の詔


この看板の説明にもあるように、国分寺の正式名称は「金光明四天王護国之寺」国分尼寺は「法華滅罪之寺」です。
日本史の教科書にこの聖武天皇の詔は必ず書かれています。
その知識が受験勉強以外で何の役に立つのか分かりませんでしたけど、今日初めて役に立ちました。


武蔵国分寺公園散歩


一周してきました。地図の右上の「真姿の池湧水群」から崖の階段を上がって、都立武蔵国分寺公園から左の国分寺薬師堂→国分寺仁王門→万葉植物園→楼門→武蔵国分寺跡です。


お鷹の道マップ


お鷹の道を再び国分寺駅まで帰って行きます。


国分寺は田舎だと思ってました。でも自然が豊かで東京とは思えないほど鳥の鳴き声が聞こえてきて、のんびりしたい人にはいい所です。
遠くに思えても休日昼間なら新宿から特快で18分ですから速いですね。高速運転なのは京王と高尾まで競争しているからでしょう。
地下鉄だと18分では渋谷から大手町までしか行けないですよ。
(だから「低速度交通営団」と揶揄されるのです)


ただし平日朝のラッシュ時は電車の渋滞で前がつかえてノロノロ運転なのでもっと時間がかかります。これはどの路線も同じです。
特に中央線は新宿までドアが開かないだけの各駅停車のことを通勤特快とか詐欺みたいなことを言ってますよね……。


いまさら渋滞解消のために複々線にしようとしても手遅れですし、全費用を都民の税金を使って作るわけにもいかない。
最初の計画段階でのミスでしょう。


※途中から東西線か黄色い電車に乗り換えると座れますけど、会社の定期代は最も経済的な経路でないと税法上非課税とは認められないので、例えば大手町に通勤する人は東西線ではなく東京駅までJRで乗り通さないと定期代が高くなって会社が税務署に怒られるのですよ。


超少子化でいずれ電車の通勤通学客は必ず減って行くので、それまでは我慢してくださいということしょうね。


武蔵国分寺


今日使ったお金。(電車運賃を除く)
殿ヶ谷戸庭園  0円
武蔵国分寺公園 0円
国分寺拝観料  0円
万葉植物園   0円
武蔵国分寺跡  0円


今日の結論。無料でも見どころはたくさんありました!