駅まで迎えに行く彼女

「このホームからの運行は終了しました」
東京メトロは終電が早い…。


妻は本当に冗談ではなく23時過ぎまで毎日働いている総合職の会社員。


気がついたらオフィスビルの正面玄関が閉鎖されていて、裏の守衛さんのいる通用口から脱出するはめになるというのも日常茶飯事です。


昭和時代は会社で寝泊りする超働き者の社員もたくさんいた日本ですが、さすがに今はそこまでする人はあまりいません。


働き者の数も年々減っています。
だからまだ仕事が残っていても、みんな終電までには帰宅します。


終電も昔のように積み残しが出るほど超混雑というほどではありません。
ただし乗り遅れると悲惨なことになるのは昔も今も変わらないので、普通に混んではいます。


自宅の最寄り駅に着くのは大抵、午前0時過ぎです。


東京は午前0時を過ぎても人通りが多いので、田舎の道を歩くよりましだと言う人もいます。


それでも、変なひとりごとをつぶやきながら脳内の敵と戦っている人がいたり、いまどきヤンキー座りをして何かを吸っているような人もいるので(本当にいる)


やっぱり夜道の一人歩きは怖いですよ。


しかも節電だか何だか知らないですが、以前よりも街灯が間引きされているのです。


だから妻を夫が駅まで迎えに行くのは、よくあることです。


もちろん徒歩で。
(うちは車を持っていないのでね)


改札口を見ると、やはり3~4人は、同じようにお迎えに来ている男性がいるんですよね。


でも逆に旦那さんを迎えに来ている奥さんは見かけません(笑)


世の中、まだ主夫よりも主婦の方が多いと思うのですけど……。


あっ、私は主夫じゃないですよ。


会社員ですけど、帰宅時間は妻の方が100%遅いので気分は新婚の妻です。
結婚して10年以上経っているのですが。


ちなみに出勤時間も妻の方が100%早いので、「いってらっしゃい」と言うのも夫の側です。


(年収が多いのも妻の方ですけど、別に年収が多いから偉いというわけではないのです)


うちのように女性を男性が駅まで迎えに行くというのが、それほど珍しくないのは、実際に自分の目でいつも見ているのでわかります。


まだ結婚していないような若いカップルでも、彼氏が「おかえりー」と言って彼女の荷物を持ってあげる光景を見かけます。


でもあまり知られていませんね。


もちろん電車が到着する度に改札から次々に出てくるたくさんの女性の方たちは一人で出口に向かっているので、ほとんどの人は深夜でも一人で帰宅するのでしょう。


たまたま結婚していて、(結婚しない人もとても多い)、たまたま妻の方が忙しくて、たまたま夫は妻のことを大切に思っているという、それだけのことです。


女性の深夜残業が解禁されて既に20年以上が経ちます。


女性と男性は平等という風潮が(都会では)定着しつつあっても、それはあくまでも仕事面でのこと。


街灯が少なくて夜道が暗い、変な人がうろついているなど、障壁は目立たない所でたくさんあるのですよね。


駅まで迎えに行く彼氏